令和4年度文化庁概算要求
令和4年度文化庁概算要求の内容が発表された。全体の概算要求額は本年度の予算と比較して 236 億円の増額(22.0%増)の 1,311 億円となっている。ちなみに昨年度、令和 3 年度の文化庁概算要求はその前年度に比べて520 億円の増額(48.8%増)であったのと比べると少なめの要求になっている。ただし令和 2 年度の要求時にあたっては、その後補正予算に組み込まれることとなるコロナ対応関係の予算が計上されていた部分が約 520 億となっていたためである。通常予算だけに着目すれば、その前年の令和 2 年度並みと言える。その点で比較すれば、令和 4 年度の概算要求ではコロナ対応関係は事項要求(その後令和 3 年度の補正予算となった)として金額的には含まれていないので、増額分についていえば通常年度の予算を増やすことを目的としている。
オーケストラにとって重要な助成項目については以下のようになっている。
(1)「舞台芸術創造活動活性化事業」(旧「トップレベルの舞台芸術創造事業」)は 3,338(百万円)と今年度の予算額と同額。オーケストラ活動を続けていく上で増額を常に望んでいる項目である。一方で日本芸術文化振興会の助成事業の仕組みの変化、全体予算の減額の可能性がある中で、「舞台芸術創造活動活性化事業」への申請団体の増加は予想され、一層の厳しい状況となることは予想される。
(2)「文化芸術による子供育成推進事業」は組み立てが変わり、7,996(百万円)の新規事業扱いとなっている。今年までは「文化芸術による子供育成総合事業」として、巡回公演そのものの公演回数は 1550 公演、合同開催事業(巡回公演事業のうち、山間、へき地、離島など、鑑賞機会に恵まれない地域に存する小中学校での合同の実演芸術公演)が 490 公演と合計で 2040 公演であったのに対し、来年度の要求は合計で 2500 公演になっている。公演回数が増えることは、義務教育の間に多くのすぐれた芸術文化活動を子供が触れる機会増加の意味においては素晴らしいことではあるが、一方で小規模での開催が増えてきているようにも感じ、この点は注視するとともに、合同でのホールにおける開催など、積極的に提言していきたい。
(3)「戦略的芸術文化創造推進事業」は今年度予算と同額の 585 百万円となっている。この事業も長い間継続しているが年々予算が縮小してきている。今年度は日本フィルハーモニー交響楽団が<「被災地に音楽を」東北の夢プロジェクト2021 >で採択されている。
(4)「障害者等による文化芸術活動推進事業」は今年度の予算 376(百万円)に比べ 100(百万円)増の 476(百万円)になっている。障害者等による文化芸術の鑑賞機会の拡大、発表機会の確保などについて先導的・試行的な取り組みを支援するもの。今年度は日本センチュリー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団が採択を受けている。
「日本オーケストラ連盟ニュース vol.106 38 ORCHESTRAS」より