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「アフィニス夏の音楽祭2023 Nagaoka」の開催
2019 年より、新潟県の長岡に移った「アフィニス夏の音楽祭」も5年目を迎える。その間コロナ禍に見舞われ、2020 年は中止、2021 年はオンラインを活用した開催など苦難の5 年であった。今年はコロナが5 類に移行した後であり、制約のない形での開催が大きな果実を生むものと期待している。
期間は2023 年8月17日(木)~ 24日(木)までの8日間。会場は長岡リリックホール、川崎洋介音楽監督と海外のオーケストラから招聘された演奏家たちを指導者として開催される。
[コンサートのプログラム]
セミナー、ワークショップなど様々な催しが開かれる中で、主なコンサートのプログラムは以下のとおり。
8月20日(日)14:00 〈あいうえ音楽会〉
演奏:アフィニス祝祭管弦楽団、
大瀧拓哉(ピアノ)、長岡少年少女合唱団
サン=サーンス/七重奏曲 変ホ長調 op. 65より
マルティヌー/調理場のレヴュー
チャイコフスキー/弦楽セレナーデop. 48より
チャイコフスキー/くるみ割り人形(合唱付)
ほか
8月23日(水)19:00 〈室内楽演奏会【1】〉
演奏:招聘演奏家&アフィニス音楽祭参加プロ・オーケストラメンバー
モーツァルト/弦楽五重奏曲 第1 番変ロ長調 K.174
B. ジョラス/四重奏曲VII「アフターソーツ」
ドゥヴィエンヌ/ファゴット四重奏曲 ト短調 op. 73-3
フィビフ/五重奏曲 ニ長調 op. 42
8月24日(木)19:00 〈室内楽演奏会【2】〉
演奏:招聘演奏家&アフィニス音楽祭参加プロ・オーケストラメンバー
E. イウェイゼン/トランペットと弦楽のための五重奏曲
D. タバコヴァ/様々な道 < 日本初演>
ベートーヴェン/七重奏曲 変ホ長調 op. 20
【招聘演奏家】
川崎洋介(音楽監督・ヴァイオリン)
ナショナルアーツセンター管弦楽団・コンサートマスター
ヘンリック・ホッホシルト(ヴァイオリン)
ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団・コンサートマスター
ポール・ペシュティ(ヴィオラ)
南西ドイツ放送交響楽団・ソロヴィオラ
レイチェル・マーサー(チェロ)
ナショナルアーツセンター管弦楽団・首席奏者
インヒュク・チョウ(クラリネット)
元メトロポリタン歌劇場管弦楽団・首席奏者
マルテ・レファルト(ファゴット)
フォルクヴァング芸術大学教授
ジュリア・パイラント(ホルン)
メトロポリタン歌劇場管弦楽団・副首席奏者
カレン・ドネリー(トランペット)
ナショナルアーツセンター管弦楽団・首席奏者
「フェスタサマーミューザKAWASAKI 2023」の開催
コロナ禍においても中止することなく、大きな勇気を与えてくれた「フェスタサマーミューザKAWASAKI 」が今年も開催される。期間は7月22日(土)から8月11日(金・祝)までの21日間。オープニングの22日は、ホストオーケストラの東京交響楽団が音楽監督のジョナサン・ノットの指揮のチャイコフスキーで幕を開ける。世界で活躍する指揮者が毎年オープニングを飾るのは、このフェスティバルを非常に大切なものととらえているという事ではないかと思われる。26日には最近充実した演奏が続く高関 健・東京シティフィルが登場してオール・アメリカン・プログラムを、28日には大野和士・東京都交響楽団による北欧プログラムとなっている。29日のNHK 交響
楽団は今年生誕150年を迎えるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、後半は郷古 廉の独奏によるR= コルサコフのシェエラザードが注目される。指揮はキンボー・イシイ。今年は東京以外から2つのオーケストラが招かれる。30日の山形交響楽団は鈴木秀美によるシューベルト「ザ・グレート」、8月8日には大阪から日本センチュリー交響楽団が川崎ではお馴染みの秋山和慶の指揮。8月1日は常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレ・読売日本交響楽団によるワーグナー、2日は新進指揮者の出口大地と東京フィルでベルリオーズの「幻想交響曲」、6日は広上淳一・新日本フィルによるベートーヴェンの交響曲。9日は日本フィルが次期首席指揮者のカーチュン・ウォンによる「展覧会の絵」、10日は音楽監督の沼尻竜典・神奈川フィルによる「英雄の生涯」と続く。フィナーレの11日は東京交響楽団が正指揮者原田慶太楼と「リズム!メロディ‼慶太楼!!!」と題したコンサートで幕を閉じる。今年の夏も名曲の数々で川崎は熱い!
関西フィルハーモニー管弦楽団 8 年ぶりの欧州公演
関西フィルは、2023 年10月に第2回欧州公演を行う。楽団創立50 周年記念事業として2021年度に予定していたが、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、延期をやむなくされていた。10月12日~ 14日の3日間公演を予定。
【概要】2023 年10月12日(木)~ 14日(土)の3日間、ゲント(ベルギー)、パリ(フランス)、フランクフルト(ドイツ)の3か国3 都市。
■ 10月12日(木)
会場:De Bijloke ミュージックセンター
/ ゲント(ベルギー)
指揮:オーギュスタン・デュメイ
ピアノ:児玉 桃
■ 10月13日(金)
会場:ラ・セーヌ・ミュージカル/ パリ(フランス)
指揮:マテュー・ヘルツォーク
ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ
■ 10月14日( 土)
会場:アルテ・オーパー/ フランクフルト(ドイツ)
指揮:オーギュスタン・デュメイ
ピアノ:児玉 桃
プログラムはドヴォルザークの「新世界より」、メンデルスゾーンの組曲「真夏の夜の夢」ほか
デュメイさん、児玉さんの独奏のモーツァルトの協奏曲などが加わる。
表彰・受賞
第54 回サントリー音楽賞を井上道義さんが受賞
第54回(2022 年度)サントリー音楽賞は指揮者の井上道義さんが選出された。沼野雄司選考委員による贈賞理由は「もはや『重鎮』や『巨匠』と呼ばれてもおかしくないのだが、井上道義をそんなふうに呼ぶ人はほとんどいない。これだけの活躍をみせながらも、その存在は強く未来を感じさせる。いまだに「若手」のようなのだ。
泰西名曲をしっかりとりあげる一方で、現代作品の開拓にも余念がない。あえて道化のようにふるまいながらも、その音楽は実直で正統的。そんなさまざまな矛盾が、時として彼を異端のようにも見せてきたわけだが、しかし近年の演奏においては、その矛盾がいわば豊潤へと変化を遂げ、ゆたかに実っているように感じられる。」とある。様々な楽団(読響・OEK・東京フィル・名古屋フィル・N 響)とのショスタコーヴィチの演奏、藤倉大の新作〈Entwine〉(読響)、クセナキスの〈ケクロブス〉(東京フィル)、伊福部昭の〈シンフォニア・タプカーラ〉(N響)、ベートーヴェンの〈第九〉(N 響)などの取り組みが贈賞理由にあげられた。
原田慶太楼さんがサー・ゲオルク・ショルティ コンダクター賞を受賞
指揮者の原田慶太楼さんが、サー・ゲオルク・ショルティ コンダクター賞を受賞した。この賞はショルティ財団により、アメリカに居住権を持つ若い指揮者を支援する目的で設立されたもの。ショルティ財団は毎年キャリア支援賞を複数の若手指揮者に与えている。(2023年は特に多く22 人)原田さんは、この賞を過去5回獲得している。今回の賞はそれらの中でトップの賞となるものであり、日本人としては初となる。この賞の過去の受賞者には現在ケルン放送交響楽団で首席指揮者を、またフランス国立管弦楽団で音楽監督を務めるクリスティアン・マチェラルや、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者と、ベルリン放送交響楽団の首席客演指揮者を務め、2020 年9月からはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者に就任したカリーナ・カネラキスなどがいる。
第31 回(2023年度)公益信託渡邉曉雄音楽基金特別賞に札幌交響楽団の故・田中正樹さん
「公益信託渡邉曉雄音楽基金」音楽賞・特別賞は日本指揮界の重鎮、故渡邉曉雄先生の残した多大な業績を今後に引き継ぐために設
立された「公益信託渡邉曉雄音楽基金」の信託設定の趣旨に基づき授与されるもの。この度、第31回の特別賞の受賞者に札幌交響楽団で
ステージマネージャーとして長年活躍された故・田中正樹さんが選出された。
受賞理由はステージマネージャーとして抜群の才能を発揮され、円滑な進行はもちろん、ステージ裏での緊張をほぐし、出演者が安心して演奏に集中できるよう献身的に支え、札響の演奏活動全体を常に明るく導いたこと等による。病を得てからも、変わることなく業務にあたっていたが、2023 年2月に57 歳で亡くなった。
2023年7月31日発行
「日本オーケストラ連盟ニュース vol.111 40 ORCHESTRAS」より