オーケストラとは
オーケストラとは、この世に存在する一番大きな楽器だと考えてください。ピアノやヴァイオリン、フルートやトランペットなどは、その楽器の持つ特徴的な音によりいろいろな音楽を創り出しますが、一つの楽器ではその表現に限りがあります。オーケストラはいろいろな楽器を揃えているので、その表現の可能性には限りがありません。
ご存知のように、オーケストラにはヴァイオリンのような弦楽器でも、ヴィオラ、チェロやコントラバスまで揃えて高い音から低い音まで幅の広い音を出せるようにしています。管楽器もフルートからオーボエ、クラリネット、ファゴットそしてホルン、トランペット、トロンボーン、テュ‐バとそれぞれ特徴のある音の出る楽器を用意しています。それに加えて、衝撃的な大きな音の出せる打楽器、ティンパニー、シンバル、銅鑼、大太鼓、小太鼓など、さらにピアノやハープまで加えており、まさに音のデパート。オーケストラは音に関してはなんでもありの興味津々の楽器です。ですから、古今東西の作曲家達が命を掛けてこの楽器を使いこなし、創作(作曲)に心血を注いできたのです。ベートーヴェン、モーツアルトなどが音で描いた世界観、人生観といえる交響曲をはじめ、チャイコフスキーやラヴェル、ストラヴィンスキーの自然や民族の心を写した管弦楽曲や、舞踊のためのオーケストラ曲など数え切れないほど多くのオーケストラ曲が生まれてきました。その他にもテレビや映画で悲しいシーンではより悲しみを誘うために、そして嬉しいシーンではより喜びを高めるためにオーケストラ音楽が使われています。それだけではなく、オーケストラは人間の抱く怒り、恐れ、慰め、祈りなどあらゆる感情や思想まで表現できるのです。これらは文字でもなかなか表現しにくいものですが音楽なら表現できるのです。しかも世界の人類、誰でも一瞬にして理解できてしまうのです。
オーケストラが18世紀半ばにヨーロッパに誕生してすでに250年以上が経ち、その間に音楽は人々によって淘汰されてきましたが、それでもなお、いわゆる「名曲解説辞典」には数百の曲が挙げられています。勿論、名曲だからといって聴く人の心を直ぐに捕らえられるものではありませんが、これらの数ある曲の中にはきっと<あなた>の心を捉える曲があるはずです。是非オーケストラを嫌がらずに聞いてみてください。時間がかかるかもしれませんが、必ず出会うことになるでしょう。それはポップスやロック音楽を聞いて得られる楽しみとは少し異なるでしょうが、人間として、心の深いところで心地よい喜びを感じられるものであり、きっと<あなた>はまたその喜びを求めたくなるはずです。しかもお願いしたいのは<生>の演奏を聴いてみて下さいということです。CDやラジオ・テレビでは絶対に味わえない魅力がそこにあるからです。音のダイナミックさ、広がりだけでなく、生身の指揮者や演奏者から感じられる彼らの動きや息使いなどを全身で受けとめてください。<あなた>はきっとそこでオーケストラの本当の魅力に出会えます。
日本オーケストラ連盟 顧問
<出会い>はコンサート会場で。コンサート情報はこちらから
写真:オーケストラの日祝祭管弦楽団2016年3月31日